アマラとニラちゃんの「風が吹いて…」シリーズ

リアル・インド
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void.gif(49 バイト)■ 風 が 吹 い て …
void.gif(49 バイト) チ ベ ッ ト か ら ヴ ァ ラ ナ シ へ
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ガンジス

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ガンジス

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ガンジス

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沐浴

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沐浴

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沐浴

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キャンドル売りの少女たち

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サモサ

■ヴァラナシで発見した人間のリアルな価値…

 チベットから、ネパールを経て僕はヴァラナシに入った。20年ぶりのヴァ ラナシだったが、僕は驚いた。あれぇ〜まったく20年前と変わっていない! ので、それが逆にびっくりした。というのはね、最近、インドは目覚しく発展 して、街角の様子が急速に変わりつつある。だから、数年たって、インドの街 角を歩くと、その変化の様子に驚いたりする。たまたま、今年は、チベットか らインド入りしたために、ヴァラナシを20年ぶりに訪れることになったが、 その変化のまったくのなさに、逆に驚いた。

 街角の不潔さたるや、20年まえとまったく同じ。歩いていて臭い。景色も まったく変わらず。建物も古いまま。自転車人力車もそのまんま。あとで、ヴァ ラナシのことをあるインド人に「ヴァラナシって、リアルインドって感じだね ぇ〜」話したら叱られちゃったよ。彼がいうには、こっちのほうがリアルなイ ンドだよって。いまインドは発展中なんだ!って。あっちは、時代遅れなんだ ぞ!古代のまんまのインドだってさ…。

 ヴァラナシで面白い光景を見た。僕が、ヴァナラシのサモサ屋で、サモサを 食べていると、急に牛が店に顔を突っ込んできた。入り口で、オヤジがサモサ をあげているんだけど、牛を見た親父が、サモサをひとつつまんで、牛がペロ リ…むしゃむしゃと食べながらゆっくりと去っていった。そんな光景を何度も 見た。また、違う牛がやってきては物乞いをして、一個サモサをもらうとムシ ャムシャと食べながらゆっくりと出て行く。ヴァラナシでは、牛がこうして一 軒一軒、サモサ屋に物乞いに行くんだね。ちなみにサモサっていうのは、ジャ ガイモのカレー味の煮付けを衣に包んで揚げたもので、インドの典型的なスナッ クだ。

 ヴァナラシの道は道幅も狭いので注意が必要だ。牛や犬の小便やら大便や らがどこにでもころがっているんで、歩いているときに注意がいる。犬ですら 踏んでしまうことがある。牛が向こうからやってくるときは特に注意が必要だ。 道が狭いので、すれ違いざまに何があるかわからない。牛はハエが顔に止まっ たりすると、よく首をふる。すれ違いざまに、ハエをおっぱらおうとして、牛 が首をふり、そのはずみで、牛の角が喉にささって死んだ人もいるくらいだか ら、注意したほうがいい。さもなければ、牛はとっても穏やかな存在だ。

 そうそう、20年前と少し変わったことがあった。安宿はどこも門限が厳し かったね。門限は日没とか、夜9時までとか、そういう安宿がほとんど。聞い たら、ヴァラナシでは年間に外国人が40人以上も行方不明者になるそうだ。 確かに考えてみたら何だか夜は物騒だ。もし、盗賊団か何かが、旅行者を暗闇 に連れ込んで貴重品を奪って、そのまま川に投げ込んだとしても、はっきり言 ってもうわからないからね…だって、ヴァナラシでは川に死体が浮いていても、 誰も何も気にしないんでね。日本人の行方不明者や、大勢の外国人の行方不明 者を探すチラシがよくはってあるよ。普通にいる分にはヴァラナシは怖いとは 感じないが…。

 ただ、ヴァラナシで困ったことがあった。僕はいままでの人生で、動物や虫 は殺さないようにしてきた。たとえばね、トイレの便器のなかに虫がいたとし よう。そこで僕が用を足したら、水を流すから、その虫が死んでしまうだろう… それで、ティッシュペーパーかなんかで、虫を救い上げていた…これはマジな 話。僕にとっては一匹の虫ですら、大切だった。だから、僕は虫も殺さぬいい 男なんて、自画自賛していた。なんで、そうなったかというと、やっぱりイン ドの影響だと思う。インドでは、そういう考え方があるから…。僕も知らぬ間 に生き物を、たとえ虫ですら、大切にするようになった。

 んだけど、ヴァラナシで僕はそんなこともいえなくなてしまった。虫が便器 にたくさんいるんだよ。便器のなかには、こうろぎ、バッタ、蛾…たくさんの 種類の虫がうじょうじょとうごめいている…毎回、何十匹もの虫を救出できな い…それで、ついに僕はもうやめてしまった。やっていられなくなったんだ。 だから、ザバッーとね、やってしまう。そのうち、平気になってしまった。

数が多いというのは、価値が下がるのかな…?

 毎年、ある時期には、ヴァラナシでは、昆虫が大発生することがある。ちょ うどその時期だったようだ。あるとき、サルをみていたら、葉っぱを食ってい る…かと思って、よく見たら木の葉っぱには、バッタが山のように群がってい た。サルはその木の葉にたくさんくっついているバッタをむしゃむしゃ食って いる…。それほどに大発生したら、どこもかしこも虫だらけになって、虫の価 値が下がった…??僕もトイレでザバッー…。

 そうそう、こんな話がある。街角のフルーツ売りとたまたま、世界情勢の話、 「最近、戦争とか、隣国が大変だねぇ…」ってな話を始めたんだ。それで、僕 がね、「インドも対岸のできごとじゃないでしょ…いつ、戦争に巻き込まれる かもしれないし…イスラム教徒も多いし…」といったら、彼がニヤッとワラっ て…

「ノープロブレム。ソーメニィピプル(問題ない。人間は大勢いるさ)」
「……!」

 だからね、たくさん大勢いるってことは、そうなってしまう。虫を何匹か、 流してしまおうと、人が一人や二人が死んでいようが、問題なくなる。道端で、 人がよく死んでいることがあるね。路上生活者が寝ているのかな?って思った ら、違うんだ…死んでる。なんでわかるかといえば、ハエのたかりかたが違う んだね。口の周りに山のようハエが止まっている…。通行人は誰も気にしない。 そんな状況だから、インドではあのフルーツ売りのように、10億以上いる 人口のうち、1億や2億いなくなろうが、ノープロプロブレムといえてしまう。 大勢いるということは、ひとつひとつ、一人一人の価値が下がるのだろうか? このヴァラナシでは、毎日のように大勢の人が焼かれている。だから、人の 価値も低いのかね?だから、旅行者の一人や二人を追いはぎして川に流してし まおうが、何とも感じなくなってしまうのだろうか?

 そういう僕も、虫がたくさんいるヴァナラシの便器を眺めながら、ノープロ ブレムって、ざーと流すしかなくなった。(ニラ、インド・プーナにて)

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photo by Amala
talk by Nira
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