"僕はもう何年もインドをバイクに乗って旅している。バイクの上から見たインドは…こんなだったよ"

バイクに乗ったメガ

メガ、昔ヒッピー、いま芸術家、彼が喋りはじめると、とても気持ちが楽になる。もう笑うしかないって、そう思えます。人生はすべて奇天烈なり(マハスック)




ヒンドゥー教徒たちがイスラムのモスク寺院を破壊したために問題が起こった

     僕は北インドのウッタル・プラデッシュ州にあるラクナウという町をバイクに乗って通過して、それから、ある町に入った。ところが、その町で、とんでもないトラブルに巻き込まれそうになった。 その町、名前はアヨダと呼ばれている。そこには何年か前にはモスクが建っていたが、ヒンドー教徒たちによって破壊されてしまい、それが元で、今でも、何かあると騒動が持ち上がっているのだ。そうそう、何年もまえ、1991年にボンベイを中心にヒンドー教徒とイスラム教徒たちが騒動を起こし、暴動にまで発展した事件があったが、それのきっかけになった町がこのアヨダだ。僕は、ネパールにあがっていくために、この町を通過する必要があった。


暴動!そのとき、僕はフランスの金髪の彼女と一緒にバイクに乗っかっていた

     いったい何がどうだったかって?僕はそのとき、フレンチの彼女と一緒に旅していた。それで彼女を後ろに乗せて、その町に、アヨダに入ったとたん、そこは暴動の真っ最中だったわけだ。みなさん、カッーと熱くなって取り込み中だった。群集が路上で石を投げつけたり、叫んだり、狂ったようになっている。方や、ポリ公がそこらにじゅうにいて、それは非常事態だった。僕はバイクに乗っていて、自体の全容を観察していた。道のど真ん中には大勢の人間がいて、道は完全にふさがれていた。僕はというと、彼女を後ろに乗っけたままバイクのうえさ。その瞬間、実はどうしていいのかわからなくなった。「クソッたれ!メガよ、こんなキチガイ連中のなかをどう抜けたらいいんだ?」って独り言を言ってしまった。なにしろ、群集は本当に気が狂っているかのように見えたからね。叫んだり、石を投げたり、争っている。警察と群集がにらみ合っていた。


そのとき、僕はナマステ(インド式の挨拶)をして、そこにいるみんなに挨拶し始めた。

    路上で熱くなっている連中からみれば、僕と西洋人の女がどこからともなくバイクに乗って現れたってところだろう。僕のバイクはね、座席が特殊になっていて、後ろのほうの座席が一段高くなっているから、後ろに座っている人間の顔が僕より上になっている。だからバイクに乗っている2人とも前をよく見れるようになっているんだ。で、突然、そんな感じで現れた僕らのほうに、そこにいた暴徒たちの注目が集まって…みんながじっとこっちのほうを見るんだ。だって、まったく場違いに現れた2人だったからね、彼らにしてみれば。僕は「メガ、どうやって暴徒たちのなかを通りぬけたらいいんだ?ヤツらは完全に気が狂っているぜ。怒って熱くなっている」と焦っていたんだが…。その瞬間、僕がやったことというのは、バイクのハンドルを握っている両手の片方のほうの手を顔の前にこうしてもってきて、それでインド式にナマステのポーズをして、バイクに乗っかったまま、そこにいる全員に挨拶し始めた。



メガが片手でナマステをしながら暴動を通り抜ける

その瞬間、全員がただ突っ立ったままだった。それはまるで、連中が催眠術にでもかけられたかのようなありさまだったよ。




     それで、何がどうなったのか、わからなかったが、その瞬間、僕がナマステで挨拶をし始めたとき、全員がただ突っ立ったままだった。それはまるで、連中が催眠術にでもかけられたかのようなありさまだった。僕らが通れるように、人々が道を明けてくた。エンフィールドバイクが通れるように、人々が脇によってくれたんだ。僕は冷静を装っていたね。慌てふためかないように、とても注意していた。手は震えていたが、それでもそれが顔や態度に現れないようにとても気を使った。
     僕はゆっくりと人並みのなかをバイクで進んでいった。冷静に、ナマステで挨拶をしつづけながら、進んでいった。完全に通過してしまったとき、僕はバイクのアクセルを全開にした。バイクは大きな音を立ててスピードをあげはじめた。それで目が覚めたかのように、人々の催眠術が解けたとでも言おうか、いや、ほんと、僕は片手のナマステでみんなを催眠術にかけたんじゃないかと思うけど、それで群集が僕らを追いかけ始め、中にはこちらに向けて石を投げるものまでいたが、でも、連中が気づいたときには、目が覚めたときには、こっちはずいぶんと遠くに行ってしまったあとだったよ。


人の心理と犬の心理はよく似ている

     それは、インドの路上で吠え立てる犬に遭遇したときの状況にとてもよく似ていた。インドに来たことのある人なら経験があると思うが、インドの路上では犬はとても厄介な存在だ。ヤツラは見知らぬものには、ことあるごとに吠え立てて、こちらに向かってくる。しかし、それで逃げ腰になるのはあまり得策ではない。もし、犬どもが吠え立てて来たら、冷戦沈着にその犬どもに面と向かう必要がある。逃げ出そうものなら、何匹もの犬に追いまわされて、ひどいときには噛みつかれる。だから、もしヤツラが吠え立ててやってきたら、立ち向かうこと。そうすると、不思議なもので、犬たちはおとなしくなってしまう。しっぽを振り始めたりする。

     僕は、インドではいつも自分のバイクに乗っかっているけど、しょっちゅう犬に追いかけられる。そんなときは、僕はバイクを急停止させてしまう。そして、犬のほうに面と向かって、そいつに向かって喋り始めるんだよ。そうすると、犬はまったくわけがわからなくなって、もう堪えられなくなって、それで逃げてしまう。僕は、ちょうど今話しているような具合にそいつに喋り始めるからね…。 僕が北インドで暴動に巻き込まれそうになったとき、もしバイクのスピードをあげていたら、恐ろしいことになっていただろう。なにしろ、相手は犬ではなくて人間だからね…。こんなふうに、犬と人間様を同類として扱うのは申し訳ないが、しかし、犬も人間もある種、似たような心理を持っているね。犬であれ、人間であれ、気が狂ったように近づいてきたら、そのときは逃げ出さないほうがいい。そういうキチガイや犬には直面しなくてはならない。それはインドであっても世界のどこであっても同じだと思う。

     インドでは、バイクに乗っているとこういうこともある。通りすがりにガキたちが石を投げつけてくるということ…これは困ったものだが、この場合も、僕は決してバイクのスピードをあげない。もちろん、スピードをあげて逃げるということも可能だが、それにはそれなりの危険と労力が必要となる。一番簡単な方法は、バイクで走っているときに、前方でガキたちが石を拾い上げているのが見えたら、即バイクを停止させること。そして、ガキどもをじっと見る、それだけで十分だが、僕の場合、バイクから降りて、そいつらを追っかけてやる。そうすると、ガキどもは、恐れをなして消えてしまう。そこでもし、僕がアクセルをふかして逃げ出そうものなら、ヤツラは躍起になって追いかけてきて、石を投げつけてくるね。いくらバイクを早く走らせても、石を投げつけられたらとても危険な目にあうこともある。 僕はインドをバイクに乗って旅していて、こういうことを発見した…とても変に聞こえるかもしれないが、インドでは、人間と、ガキと犬は似たような心理を持っているってことさ。














om mani padmi hum










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