インドの「名作」その1
インドにいるとき、良く料理をしながら、とか、ごはんを食べながら、ラジオを聞いていた。 インドにも、FM音楽チャンネルがあるらしく、いつもインド古典音楽を流しているチャンネルやいつも古い映画音楽を流してるチャンネルとかがあるみたいだった。インドポップや西洋のポップミュージックは割とおそい時間帯にかかってた。
わたしのお気に入りは、古いインド映画音楽のチャンネル。50年代のハリウッド映画や日本映画に共通する甘さと雰囲気がある。インド映画吹き替え歌手なんばる・わんのラタ・マンゲシュカルやその妹のアシャ・ボスレーの歌声が多いけど、(この二人は今でも映画音楽に欠かせない。なんとラタは70才をとっくに過ぎている!)若くして亡くなった天才監督&俳優のグル・ダットの奥さんだった、ギータ・ダットの歌声もかわいらしい。男性歌手では古い映画では、モハメッド・ラフィがだんとつに好み。。
音楽SHOPに行くと、最新の映画音楽のVCDやカセットとともに、こうした昔の名画のインド音楽カセットも売っている。PUNEで名画座をさがしたけど、みつからなかった。そのかわり、VCDやDVDで名画は手に入るみたい。TVでもやるのかなあ。TVなんか8000RPSもあれば買えるのだから、買え買えってインド人の友人が薦めたけど、ただでさえ忙しいインドの日々。TVなんか持ったら、Ashramに行かなくなってカウチ・ポテトになってしまいそうなので、ときどき、友人のところで見せてもらうだけにしてる。(だって面白すぎるんだもん)
インド人の友人達に聞くと、あれがいいこれがいいと教えてくれる。新作情報にしてもグルメレストランのウエイターのおじさんと隣のジャーマンベイカリーのあんちゃんたちとでは、年齢層が違うからか、お奨め映画がぜんぜん違う。だからいろんな人に聞いてみる。あとは適当に自分の好きそうなジャケットのカセットを買ってみる。当たりはずれがまた面白い。そんななかで、お奨めの名画をならべてみよう。
*PAKEEZAH(純粋なハート) 1971年 KamalAmrohi監督 メランコリーの女王The Queen Of SollowといわれたMeenaKumari主演 イスラム教の王朝が支配していた頃の北インドのラクナウの高級娼婦だったNargisは夫の家族に疎まれながら、死に際に娘を出産する。その娘Sahibjaanもラクナウの高級娼婦、ダンサーとして成長し、知らず知らずに、父の甥と恋に落ちてしまう・・・この映画内の歌、”ChalteChalte” ”Inhi Logone Ne”が大ヒット。この映画に流れるロマンティックで濃厚な空気、雰囲気に妙に惹かれます。 (脱線:映画は駄作でも映画のもつムードに惹かれる、ということがある。1998年のPremAgaan:愛の炎、という作品は誰に聞いても駄作というがわたしは、この映画のもつ雰囲気と音楽にはまってしまったことがある。もちろんPAKEEZAHは名作です) MeenaKumariの憂いのある表情、ダンス・・・美しいですう。この映画は夫婦であったK.Amrohi監督とMeenaKumariが別れて、制作が中断していたが(1964に撮り始めた)何年かたって、Meenaがアルコール中毒に悩んでいる間に完結することに同意して、制作続行になったという。
*SAHIB BIBI AUR GHULAM (旦那様と奥様と召使い) 1962年 GuruDutt監督 MeenaKumari、Guru Dutt、WaheedaRehman、Rehman出演
38歳にして、自ら命を絶ってしまった天才映画監督GuruDuttの作品。19世紀のカルカッタが舞台。仕事をさがしにでてきた低カーストのGuruDuttの目からみた上流階級の夫婦の暮らし。。夫(Rehman)は踊り子たちに夢中で毎晩帰ってこない。夫にかえりみられない妻(MeenaKumari)はだんだん酒におぼれていく・・・ 夫に見捨てられた妻MeenaKumariの演技が光ります。最近、日本でもGuruDuttの映画祭のおり、上映されました。日本でも見るチャンスがあります。
*CHAUDVIIN KA CHAND(十四夜の月) 1960年 W.Sadiq監督GuruDutt プロデュース、Waheeda Rehman、GuruDutt、Rehman、JonneyWalker(喜劇俳優)出演
イスラム教の女性が身につけるチャドルがもとで起こる、恋の悲劇。Aslam(GuruDutt)の親友の高貴なNawab(Rehman)は、市場で顔をちらっと見ることのできた女性Jamira(W.Rehman)にひとめぼれ。どうしても彼女と結婚したいと画策する。そのために親の決めた結婚を拒否し、Aslamに婚約者をゆずり、AslamはNawabの元婚約者と結婚するが、初夜にベールをとると、彼女はNawabのひとめぼれの相手、Jamiraだった。
「十四夜の月」とは「満月」のこと。Jamiraの美しさを満月とたとえて歌った主題歌が大ヒット。(モハメド・ラフィ歌) 実生活でもGuruDuttが恋をして自殺をするもとになったWaheedaRehmanの美しさは、背筋がぞくっとするほど。
*PYAASA(渇き) 1957年 Guru Dutt監督 GuruDutt、WaheedaRehman、MalaSinha、JonnyWalker出演
GuruDuttの傑作。売れない詩人Vijay(Dutt)の詩をふとしたきっかけで読んだ娼婦Gulab(W.Rehman)は、彼の詩に惚れ込んで、なんとしても出版したいと思う。貧しく町をさまようVijayはあるとき、自分のコートを乞食に施すが、その乞食は彼を助けて事故で死んでしまう。彼のコートを着た死体のおかげで、Vijayは死んだと思われ、詩集はベストセラーになり、追悼の朗読会が開かれ、その会場にVijayが訪れる・・・。
*KAAGAZ KE PHOOL(紙の花) 1959年 GuruDutt、WaheedaRehman,JonnyWalker、他出演
GuruDuttの傑作その2.Sinha(Dutt)は映画監督として成功していたが、映画監督という職業がいやしいと、妻の家族からは疎まれていた。おかげで、結婚は失敗、娘のPammi(BabyNaaz)は寄宿舎に入れられ、彼女ともたまにしか会えなかった。ある雨の夜、Sinhaは自分の次回作「DEVDAS」のParo役にイメージがぴったりのShanti(W.Rehman)に出会う。 Shantiは大スターになり、映画も成功するがShantiとSinhaの中が噂され、ゴシップとしてひろまり、それを悲しみ、嫉妬したPammiはShantiに女優を辞めるように頼み、Shantiは承諾、それとともに、Sinhaの映画監督としての位置も失墜する・・・・・ のちに空っぽのスタジオのディレクターズチェア−の上でSinhaは息絶える・・・・・
GuruDuttの映画の多くの曲を妻のGeetaDuttが歌ったが、ふたりの仲は長く続かなかった。実際にGuruDuttはWaheedaRehmanに恋をして自滅している。数年前に赤坂で行なわれた「GURU DUTT映画祭」のおり来日したWaheedaRehmanは老いてなお美しかった。映画祭は連日満員。Waheedaは満員の客の熱気にいたく感銘してその後再び映画への情熱を取り戻し。最近のインド映画におばあちゃん役で出演している。
GuruDuttの映画は、インド映画に興味のない人でも充分楽しめる映画だと思う。もちろん歌のシーンがあるのだが、それがとても自然な感じで挿入されている。そして、叙情的な雰囲気。テーマは人間に共通のことだから、共感できる。メロドラマばかりでなく、MR&MRS55などの喜劇もある。 GuruDuttについて、もっと知りたくなったら アッチャー・ページ http://village.infoweb.ne.jp/~fwgd0392/ へ!
*MUGHAL-E-AZAM (大ムガール) 1960年 K.Asif監督 PrithvirajKapoor、DilipKumar、Madhubala、DurgaKhote、JonnyWarker出演
ムガール帝国の物語。制作に9年を費やした大スペクタクル映画。Oshoもこの作品のことを「GoldenChildhood」で言及している。Madhubalaの歌う「PyarKiyaToDarnaKya」のシーンが素敵です。
OSHO「わたしが話していた人物、彼のフルネームは、パンディット・サンブ・ドゥバイだった。我々はみんな彼のことを、サンブ・バブと呼んでいたものだ。彼は詩人だった。・・・・・・・だが生きている間には一度も自分の詩を出版しなかった。また偉大な物語作者でもあった。そして偶然、ある有名な映画監督が彼のことを知り、その物語を知った。今やサンブ・バブはいないが、その物語のひとつモグ−ル・アザムを使ってひとつのすばらしいフィルムが作られた。『大モグ−ル』だ。この映画は国内および国際的なたくさんの賞を取った。ああ、彼はもういない。彼はあの地における私のたったひとりの友人だった。・・・」P315「ゴールデン・チャイルドフッド*光輝の時代−シュリ・ラジニーシ幼年期を語る」めるくまーる社より抜粋 Oshoが7歳か8歳のとき、このサンブ・バブに会ったんだね。インドのことを少し知るようになってこの本を読むととても面白い。インドの偉大なバンスリー(竹笛)アーティスト、HariprasadCaurasiaのことも出てくる。おさななじみだったんだね。 Oshoとインド映画談義をしてみたかったなあ。それじゃもう1本、インド人の古いSWに教えてもらったの。繰り返し、Oshoが見てた作品:UmraoJaan
*UMRAO JAAN(踊り子) 1981年 Muzaffar Ali監督 Rekha、FarouqueShaikh,NaseeruddinShah出演
妖しい魅力のあるRekhaが主人公の、19世紀ラクナウでの物語。子供のとき、誘拐されて、高級娼婦、ダンサー、シンガー(当時最高の芸人)として育てられたUmraoは、お客のひとり、高貴なNawab(Shaikh)と恋に落ちるが、のちに彼の結婚式の祝宴で踊ることになる。。。そしてそのNawabの妻は同じく誘拐されて一緒に育った娘だった。。AshaBhosleの歌う”DilCheezKyaHai”が大ヒット。Rekhaのダンスもみものです。
まだまだ名画はたくさんあります。すこしずつ紹介していきまーす。わたしもまだ見てないものがいっぱい。
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