インドには牛が似合う、牛がいなかったら、インドっていう気がしない・・・

インドの街角では、いたるところで、牛を見かける。最初は、珍しくて、じっくりと眺めたものだけど、しばらくすると、風景に馴染んでしまい、あまり意識することがなくなった。

あるとき、なにか、風景を撮ろうかなと思って、ファインダーをのぞくと、目の前に牛がいた。それで、写真を撮ってみた。ううん、と、うなってしまった。牛は大人しい。静かに、どこからともなくやって来て、草を食べて、どこかへ消えていく。あるときは、道のど真ん中や、とんでもないところで、座り込んでいる。そうして、口をゆっくりと動かしているんだ。

インドでは、牛は母親と慕われ、大事にされてきた。インドの友人と、そんな話になり、彼が「牛の体から出てくるものは、昔から、インドではすべて活用されてきたんだ。牛の糞は、乾燥させて燃料になるし、また、インドの壁や床に塗られた。壁や床に塗るのは、牛の糞は殺菌力が強く、これを塗っておくと、虫がやってこないからだという。そして、尿は薬として飲まれ、ミルクは、チャイで同じみ、インドの代表的な飲み物として、毎日飲まれている。牛のミルクで、大勢のインド人が栄養をとってきた。だから、やっぱり母親なんだよ。」

インドに生活すれば、牛のミルクを飲み、ミルクからできる乳製品をいただく。体が少しづつ牛になっていくんだよ。牛が母親なんだ。だから、母親として、大事にされる。人間は、母親を殺しはしない。それと同じように、インドでは、牛を食べるために殺すことはありえない（ヒンドゥーの伝統ではね）。このことは、インド人のメンタリティを象徴的に示していると思う。インド人は、根がとても優しい民族性ではないかなと思う。たとえ、食べるものに困っていたとしても、牛を殺さない（まは）