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LODGEの設計は、4年前にすでにできていた。知人のツテでオリッサ州州都の設計士さんに依頼したもので、敷地を余す所なくフル活用した。ホテル2棟、レストラン、バー、プール付きの中級ホテル。設計許可を得るために、お役所に申請した時のホテル名が、なんと"チャンディ・リゾート"。私は臆してしまった。リゾートホテルなど建てる資金はどこにもない。プランをつくる前、設計士さんに採光通風のこと、日の出の方角、庭づくりのこと、将来的に少しづつ建て増しして、ゆく計画などを話しておいた。私の希望はすべてクリアーしたプランの完成だった。が、リゾートホテルにはるとは思わなかった。「あの、、、、私、チャンディゲストハウスって名前に決めてたんですけど」と設計士さんに言ったときは叱られた。「なにっ!?ゲストハウスだって!!私の設計したHOTELには似合わない」 どうやら、私達夫婦は場所違いなお方に設計をお願いしたらしい。とほほ、、、、。これも、LODGE(安宿)建設が遅れた諸々の事情のうちのひとつである。
80万ルピーで大丈夫!!今年3月に入ったから夫が連れてきたのが、政府直轄の設計事務所に勤める公務員設計士のミスラさん。ミスラさんに相談したところ、敷地の後方に設計されている、私達家族の自宅用の建物をLODGEに改造するなら、期間(約3ヶ月)、低資金(80万ルピー=約240万円)で仕上がるとのこと。期も熟していた、、、と言うか、これ以上待ってはいられない状況となっていたため、多少の資金不足が懸念されたが、とりあえず建設作業をスタートする運びとなった。最初の設計士さんには話しを通さず、今後は身すらさんにお世話になることにした。
5月9日3月のミスラさんとの打ち合わせの後、往生際悪く、ふた月もグズグズしていたパーカス。日々の私の「まだ悩んでいるの?」のあざ笑いに堪えかねてきたことと、占い師さんに「建てて良し」のお墨付きをいただいたことから決意を固めたらしく、本日、建設にあたってのプージャ(供養)を取り行う手はずを整えてくれた。
プージャの祭壇は、建物の中央部にあたる場所。プージャ終了後、職人頭(こちらで大工さんは木材で者を作る人を指すため、ここでは建物をつくる人を"職人さん"と呼ばせてもらうことにする)のグノさんと、設計士のミスラさんによって、クイが打たれ、建築物の外枠にあたる部分がテープで囲まれた。
5月10日朝、ミスラさんの指示に従って、グノさんが小麦粉で四角い印を27コつけた。最初の作業は穴掘りだ。9時頃到着した人夫さん5人(男性2人、女性3人)が四角い印の部分を掘り起こす。人夫さんの中に、マイホーム建設の時活躍してくれた、シャンティおばさんの姿が見える。マイホーム建設当時、シャンティおばさんは、妊婦だった私のマッサージをしてくれたり、出産当日病院へ足を運んでくれたりもした、馴染みの人だ。
穴掘りの様子を見に行くと、人夫さん達は一斉に手を止めて私を眺める。「ネパーリー(ネパール人)か?」と聞くので、「そう、ネパーリー」と答えておいた。ひとりが「オラ、おまえさんのこと知っているよ。学校の工事の時見かけた。息子がソバニャスクールに通っているだろ?」と言う。そして、次から次に質問攻め。私のせいでおしゃべりに花が咲き、作業がちっと進まない様子なので、仕方なく退散することにした。彼らは職人頭グノさんのスタッフ。うちで仕事をしてくれる人が、いい人たちで良かったと安心した。
5月11日建設現場では相変わらず穴堀り。午後、職人さん2人が来て、鉄の棒を切っていた。
穴掘り現場を見に行くと、シャンティはいなかった。昨日とは違う女性人夫が、ジロリと私を睨む。例とホコリにまみれて、重労働している姿を眺められるのイヤなのかな?
「見学させてもらってすみません」って気分になる。カメラを向けるなんて、とんでもないと言う雰囲気だった。私のLODGEつくってもらってるんだけどな。
穴を掘る人々を見て、私は"穴掘り刑"の話を思い出した。今昔東西、囚人には様々な刑罰が与えられたものだが、そのひとつ"穴掘り刑"は、囚人にひたすら穴を掘らせ、深く深く掘らせたあとは、それを埋めさせる。掘っては埋め、埋めては掘る。この目的も目標もない、終わりの見えない労働は、肉体的な疲労だけでなく、続ければ精神的なダメージも大きいと言う。でも、人夫の皆さん、これは穴堀り刑ではなく、27コ掘ったらおしまい。お給料も出るんです。ちょっとガマンして頑張ってね。と言うことで、昨日今日の2日間で穴掘りは終わった。
5月12日2日かけて掘った27コの穴は、サイズが間違っていたそうで、掘り直し。そんな殺生な!! グノさんしっかりしてよね。今日は今年一番と思われる酷暑になのに。と言っても、小さい穴をもう少し大きくする作業なので、少しは救われる。
午後、お仕事中の写真を撮らせてもらった。シャンティがしゃべりかけてくれたおかげか、昨日とは違って人夫さんたちの愛想が良い。インドでは、カースト、年齢、出身地、学歴などで、暗黙のうちに身分がふりわけられてしまうので、外国人の私にどう接してよいのか、皆さんの方も困るのかもしれない。シャンティと私が気軽に話しているのを見て皆さん安心したようだ。サリーを着ている私に「洋服よりその方が似合うよ」と女性達が声をかけてくる。カメラを構えたら、怒りだすどころか、皆並んでカメラの目線となった。「仕事終わって水浴びしたら、また写してね」だって。3日目にして緊張感(私の)が解けた。まったく、自分のLODGEだって言うのにね。
今日は朝から職人さん3人も来て、鉄切りや格子状の鉄の枠を組み立てていた。
パート1 |
1 プロローグ 2 安宿のつもりが中級ホテルの設計図・・・5月9日〜5月12日 3 5月13日〜6月6日 |
パート2 |
1 6月7日〜6月30日 2 7月7日〜7月8日 3 今月のオマケ ナヤックさんちのこぼれ話 |
パート3 |
1 7月8日〜8月8日 2 今月のオマケ ナヤックさんちのこぼれ話 |
パート4 |
1 8月10日〜9月13日 安宿ピンチ!ノリコとパーカスの夢"は途中のままで、消滅してしまうのだろうか? |
番外編 |
ナヤックさんちのこぼれ話し |
番外編 |
沐浴に行こう!! |
番外編 |
ソニ・メーラNEW! |
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残念ながら、ノリコさんにはパソコンはありません。使いたくても、ひどいパソコン音痴なんだそうです。それでも、日本の皆さんに発信したい!という希望を、かなえるべく、インドのコナラクより原稿をインドのプーナまで郵送、そこで、かちゃかちゃと原稿おこしをし、このページができあがっているというわけです。リアルインドでは、インドで、何か夢をかなえたい!何かやりたいって皆さんのご連絡を待っています!
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