▼インド安宿建築日記
 リアルインド

インドコナラク、ノリコとパーカスの夢の途中
インド安宿建築日記part2



g.jpg(16735 バイト) 7月1日(月)

昨日掘ったエントランスの穴に、メンタル(石)を敷き、セメントマサラで固め、ポトロを敷き始めた。

昨日セメントで肉付けした柱は、位置は正しいけれど、ななめに立っている。なんで、こうなの?*ちなみに、写真のように、壁は一直線なのに柱が斜めだったり、床のラインの角度が各室ごとに違ったりしている。こんなんで、いいの?

コーシュリが写真を写してほしそうにしていたのでカメラを向けると、逃げてった。「プリントしたら、誰にも見せないで、あなたにプレゼントするよ」と言ったら、嬉恥ずかしそうに、カメラの前に立った。


h.jpg(27247 バイト)

コーシュリは、うちに来るアマさんの中で一番のおしゃれさん。結婚しているそうだけど、たぶんまだ10代。オフィスに出勤してもよさそうな服装で作業現場にやってくる。アマさんたちはアクセサリーも大好きで、コーシュリの妹なんか、2000ルピー(人夫さんの日給の33倍)の銀のアンクレットをつけて、レンガや砂を運んだり、セメントマサラを作ったりしている。痛んだり、なくしたりしないかと、私はハラハラするけど、妹さんいわく「5年もはめているけど、1度も壊れたことはないよ」値がいい分、品も良いのだろう。

7月2日(火)

また、事件発生。1時頃やってきたグノさん、わざわざランチ前に来るなんて、いい御身分だこと・・・。なんて、思っていたら、ランチタイムの後、グノvsパーカスで何やらもめている。聞くと、明日から階段づくりを始めるにあたって、現在の階段用スペースでは、2階に到達できる長さ(高さ)の階段は作れないとか・・・。無理をすれば、ロッククライミングのような急傾斜になってしまうらしい。仕方がないので、バルコニーを階段にあわせて低く作ろう(つまり中2階にする)と言うのがグノさんの意見。

そんなバナナ!!って、死語を使って驚きたくなる事実である。バルコニーとは、エントランスの屋根にあたる部分。バルコニーを低くするとは、つまりエントランスの屋根を低くするということか!?

いくら設計図がないからって、彼らは建築のプロ。当然、計算しながらやってくれていると思っていたのに。「テキトーやってるようで、結局はちゃんと出来上がるんだろうから、さすが、スーリヤ寺院を建造した民族だわ」なんて日々感心していたのは、私のカン違いだったようだ。まさか、本当にテキトーにやってたとは。先月までは「手作りロッジだ」と、のん気なことを言っていた私も、さすがに「小学生の工作じゃないんだぞ」とイラつかずにはいられない。

でも、数年前、日本で設計の仕事をしている旅人がこんなことを言っていた。「職業上、旅をしていても、泊まっている宿のつくりとかに関心が向くんだけど、インドの建物って、無理やりつじつま合わせてるって感じがしますね」

その意味、やっと実感できた。もしかすると、我が家のような"ロッジづくりゲーム"は、インド全国各地で繰り広げられているのかもしれない。

7月3日(水)

問題たっぷりの階段づくり開始。今日のところは、階段用スペースに収まる分の作業のみ。午後は小雨の降る中、仕事に取り組んでもらった。職人さん、人夫さん、ご苦労様です。頑張ってもらったけど、あと3段を残すところで、日暮れとなった。

手足を洗った後、みなさんにおやつとチャイのサービス。雨にぬれちゃったけど、風邪ひかないでね。

7月4日(木)

階段の残りを仕上げ、階段の外壁のレンガを積む。これで一応、階段の第1段階は終了。あとは、エントランス土台のポトロ敷き。

午後グノさんがやって来たけど、現場監督のふりして、支払いのさいそくに来た感じだ。このところの現場のリーダーは、グノジュニアがつとめている。

昨日、グノジュニアが、ちっとも指示通りに動かないアマのひとりに「おもらし」とあだ名を付け、「オマエ、小便臭いぞ」と、からかったらしい。その子は今日仕事に来ていないなぁなんて話をしていた。まるで小学生だ。

7月5日(金)

階段のセメントが固まり、上に登って作業現場の上方を眺めることができるようになった。景色も素敵!!

エントランスのポトロ敷きも終了。以降、ポトロを使う作業はない。必要な時には不足して、ハラハラさせられたけど、最後には300個ほど余った。在庫はオフィス(ロッジのフロントやタクシー予約の窓口)を建てる時までとっておくことになる。

午後、ヴィシュヌが実家へ帰ってしまった。2〜3日気分をリフレッシュして戻ってくると言ってたけど、怪しい。

7月6日(土)

今日からニミタル・ドレイの準備。柱&壁づくり第2段階(扉の高さ)の状態のところに、リングを通した鉄筋をセット。今日、明日で、鉄の棒を切り、鉄筋をサイズ通りにつくり、セットしてしまう予定。

セットしたら、土台づくりのフィニッシュと同じ要領で、鉄筋の両側に板のカバーを取り付け、セメントwithチップスを流し込む手順である。

午後ミスラさんが来た。おとといパーカスが、お役所に預けてあった設計図の一部を持ち帰っていたので、その正式な図面を見ながら、建築工程の誤りがないかどうか確認してもらった。まぁ、設計図は自宅用、現物はロッジなので、誤りも何もあったもんじゃないんだけど・・・。「ばっちりできてますよ」とミスラさんは断言した。

屋根は設計図面の通りスローブ型にし、窓の雨よけはBOX型、エントランスの柱は円柱にすることを決めた。

7月7日(日)

アマさん連中はストライキ。理由は、仕事中職人さんや我が家の若い者が、汚い言葉でののしったり、イヤがらせをすると言ったことだ。今朝、コーシュリの母親が、アマさんのストライキの真相を伝えに来た。

私の知るところでは、アマさんたちも相当憎まれ口を叩いてたようだけど・・・。忙しい時に「いや〜ん、もー」とか言われたら、私だって、平手打ちのひとつくらい食らわせたくなるかもしれない。若い女の子はいずこも同じ、扱いが難しい。私だって、20年前は、彼女たちのような"若い女の子"だったんだから、気持ち、わからないでもないけど。

ところで、パーカスが漁村まで出向いて行って、明日のニミタル・ドレイに備えてアマさんを説得。10人に来てもらう手はずを整えたのだけれど、それを知らないグノさんは、オリヤ人夫を手配したという。こりゃ明日は多人数だ。

7月8日(月)

朝9時、セメントを混ぜる機械ミキサーがトラクターに乗せられて到着。と同時にクンニおばさんたちオリッサ人夫チームもやってきて、続いてアマさんたちも続々と現れた。それからオリッサ人夫男子チーム、職人さんチーム、グノさん、ミスラさん、コッカさん、皆勢ぞろいである。

−ところが、本日予定のニミタル・ドレイ作業(壁上部にセットした鉄筋へのセメント流し)は中止に・・・。

我が家が、必要な資材を用意できなかったこともひとつの中止理由だが、そのおかげで大きなミスに気づかされた。

朝、パーカスとミスラさん、グノさん、コッカさんが設計図を広げて、窓や屋根のデザインのチェックをしていると思ったら、皆で現場へ出て行ってしまった。

その後、私が現場へ行ったときには、レンガの壁を壊して、窓枠を広げる作業が行われていた。

実は設計図を良く良くチェックした結果、ニミタル・ドレイの前にやっておかねばならない工程がまだあったのだ。そのひとつが、窓を取り付けるための、窓の周囲の処理だ。そんな基本的なこと、私やパーカスが知らないのは当然としても、グノさんやミスラさんが見逃していたのはなぜなんだ!?パーカスに訊くと、グノは職人、設計士の指示に従って、窓部分をあけて壁をつくるのが仕事。窓の取り付けは、大工の仕事(インドでは伝統的な窓は木製)なのだと言う。では、我がロッジのように、大工さんの出番のない、スチールフレームのガラスの場合はどうなるの?パーカスに訊くと・・・つまり、田舎職人のグノさんには、先進的(?)なガラス窓仕様の建物知識はなかったということらしい。では、ミスラさんはなぜ???彼も、よくわかってなかったらしい。私達夫婦は、なんて人たちをこれまで頼りにしてきたのだろう。

それで、結局どうなったかと言うと、我がロッジとほとんど同じ設計仕様の、コナラク・ヤトリニワス(政府ロッジ)の、新館の建設を担当している職人頭さんに手助けしてもらうことを予定している。とりあえず今日のところは、グノさんやパーカスがヤトリニワスを見学に行き、職人さんに窓枠を広げる作業を言い渡したのだった。人夫たちは、エントランスの砂埋めをしたり、室内に散々しているくずレンガを運び出したりの作業。オリッサ人夫チームには、作業開始前に早々に引き取ってもらった。せっかくのミキサーは出番なし。ミキサーのレンタル料、ミキサーを運ぶトラクターの料金、人夫さんの賃金、ミスラさん、コッカさんのランチ代等、ムダな出費を強いられてしまった。

今日でロッジ建設開始から2ヶ月が経過した。もうすぐ、雨季だなぁ。

次号に続く










1
建物土台の内部を砂で埋める
2
柱の型を取り付ける
3
型の中にセメントwithチップス<セメント、砂、チップス(小石)、水>を流し込む。
4
1日置いてセメントが固まったら型をはずし、レンガで壁づくり。まずは約1.5メートルの高さに仕上げる。
5
柱&壁の第1段階が出来上がったら、柱の鉄棒やリングをつぎ足す。
6
第1段階の柱の上に、さらに柱をつぎ足す。
7
柱の第2段階と同時進行で、壁づくりの第2段階。
8
柱と壁の第2段階が終了すると、こんなふう。建物らしくなった。
9
建物内部。バスルームの土台と壁づくり。
10
エントランスの柱を立てるための穴掘り。
11
柱の底に敷く格子の鉄枠と、柱の芯になる鉄柱。
12
10を11にセットし、下から約1メートルをセメントwithチップスで肉付け。
13
エントランスの土台づくり。柱の立つ穴と穴を掘りつなぎ、ポトロ(石の板)を敷く。
14
階段部分に板を敷く。
15
黒いビニールを張った上に、鉄枠をセットする。
16
セメントwithチップスを平らにならして固める。
17
板とレンガを使って、セメントwithチップスでステップを築く。
18
階段部分の外壁をつくる。
19
柱&壁(第2段階)の「上に鉄筋をセットする。
20
扉や窓の上部は板で支える。




インドコナラク、ノリコとパーカスの夢の途中
インド安宿建築日記
パート1
 プロローグ
 安宿のつもりが中級ホテルの設計図・・・5月9日〜5月12日
 5月13日〜6月6日
パート2
 6月7日〜6月30日
 7月7日〜7月8日
 今月のオマケ ナヤックさんちのこぼれ話
パート3
 7月8日〜8月8日
 今月のオマケ ナヤックさんちのこぼれ話
パート4
 8月10日〜9月13日
安宿ピンチ!ノリコとパーカスの夢"は途中のままで、消滅してしまうのだろうか?
番外編
ナヤックさんちのこぼれ話し
番外編
沐浴に行こう!!
番外編
ソニ・メーラNEW!

 あらすじと登場人物

インドへ行くなら、いざコナラクへ!インド・オリッサ州コナラク・ホームスティ


インド・オリッサ州コナラク
自然と世界遺産「スーリヤ寺院」の田舎町
日の出とスーリヤ寺院の眺めが自慢のわが家にホームスティしませんか?
インド古典舞踊、メディテーション、ヒンドゥー語、石像(ヒンドゥーの神様)、彫刻、インド料理など、インドならではの文化を学びたい方、または、インド庶民の生活を体験してみたい方、もしくは、しばし、物質社会から離れてのんびりしたい方、ぜひ一度、お立ち寄りください。
法子 高木 ナヤックまで、お電話かお手紙で!
NORIKO TAKAKI NAYAK KONARAK, PURI 752111 ORISSA INDIA
TEL 001-91-6758-236451(国際) TEL 06758-236451(インド国内)

残念ながら、ノリコさんにはパソコンはありません。使いたくても、ひどいパソコン音痴なんだそうです。それでも、日本の皆さんに発信したい!という希望を、かなえるべく、インドのコナラクより原稿をインドのプーナまで郵送、そこで、かちゃかちゃと原稿おこしをし、このページができあがっているというわけです。リアルインドでは、インドで、何か夢をかなえたい!何かやりたいって皆さんのご連絡を待っています!


@転載・リンクなど基本的に自由です。できればmaha@ohah.netお知らせください。



produced by maha

インドゥーポータルサイトインドの情報満載、インドゥーポータルサイト



▲インド安宿建築日記

 リアルインド