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過剰な地下水の汲み上げ



世界で毎年1640億立方メートルもの淡水が汲み上げられている。人口の増加、食料確保のための水確保が難しくなりつつある。さらに地下水の汲み上げすぎで塩害も世界の21%の農地で発生。。。21世紀の農業は水効率をあげなければならないのだ。私は水と有機物の循環利用をする農業の普及による生産性の上がる農法の普及を願っている。





過剰な地下水の汲み上げ

地下水位が低下し、灌漑が困難になっていきつつある



世界的な水不足(淡水の不足)が到来しつつある。水を気体中に蒸発させる機能を持つ森林が年々失われている。樹木は生体ポンプだ。幹に耳をあててみれば水の流れる音がする。そのポンプの破壊が止められない。空気中の水分が少なければ降水量は減る。それに関連して、気候の温暖化もまた拍車をかけている。

既に水不足は起こり始めているのだが、表立って見えないだけだ。どういうことかというと、世界には都市で使う生活用水とか灌漑農業に使う水を地下から汲み上げている場所がたくさんある。アメリカ中西部のオガララ帯水層は有名だが、地下に水が蓄えられるより、それ以上に多くの水を汲み上げている所では、年々、地下水位が低下し、灌漑が困難になっていきつつあるのだ。

ワールドウォッチ研究所の推定では、過剰に汲み上げられている地下水の量は次のようになっている。

国名単位億立方m/年

インド1040

中国300

アメリカ140

北アフリカ100

サウジアラビア60

世界合計1640

これだけの水(淡水)が年々、地下から失われつつあるのだ。




減少する灌漑農地

世界の人口は年間9千万人づつ増えている。食料確保のためには農地の拡大が必要だが…



水不足は食料不足に直結する。1tの穀物を生産するためには、水は1000tもの量が必要と概算されている。世界の人口は年間9千万人づつ増えている。食料確保のためには農地の拡大が必要だが、既に良い場所は畑にされているので、増やすためには乾燥地を灌漑する必要がある。

しかしその農業用水を確保する事が困難になってきていて、1995年の灌漑農地を新設する平均費用は4800ドル強/ha(世界銀行)も掛かった。円でいうと60万円以上/haである。

それだけかけても、世界の一人あたりの灌漑面積は1960年代に頭打ちし、以降はゆるやかに減少を続けており、1995年以降は 減少速度が速くなっていることが推測されている。

世界の食料の約40%は、総耕地面積の17%にあたる灌漑農地で生産している。毎年増えつづける人口にたいし、新しい農地の灌漑は困難になる一方だ。




塩害という時限爆弾

塩害を受けている灌漑農地は世界平均で21%



しかも灌漑農地には、土壌の塩類集積という問題がある。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学によると、塩害を受けている灌漑農地は世界平均で21%といわれている。

水に溶ける塩分の濃度があるレベルを超えると、作物は育たなくなる。灌漑に使われる水が減っているということは、塩分の濃度が上がっていくということだ。

塩害が起こると、生産量は何割も低下し、有効な対策が取れないと、その農地を放棄しなければならなくなる。

これまで、有効な対策というのは、それが可能なところで、より多くの水を持ってくるというぐらいだった。だが豊富な塩分を溶かし込んだ水が多くなることで塩類が減るわけではない。

もうひとつの対策は、農地から排出される濃い塩分濃度の水を河川や海に出すか、それが出来ない多くの場所では、塩水湖を作って蓄える事だが、この塩水湖を作るために、農地の何割をも潰さなければならない。塩分濃度の濃い農業排水を河へ流すと、下流の被害がひどくなる。どのみち、生産量は落ちる。

塩害に関しては、地下水位の上昇によっておこる現象もある。地下水が塩分が多くて濃い場合、地下水位が上昇すると作物が枯れる。これはパキスタンの下流域で河川の増水期によく起こるという。




食料不足への備え

水と有機物の循環利用をする農業



それからもうひとつの水源であるダムも、堆積して行く土砂で年々貯水量が失われて行き、その分利用できる水量が減って行く。さらに都市への人口集中も、農業用水を奪う事になっている。中国では水を必要とする事業家が農家から取水権を買いあげ、農地が放置されるということも起こっているという。

荒れた農地は 保水力がなくなり、少しの大水で表土が流失する。残された土地の生産力は格段に落ちる。こうしたことは目に見えないが ボディーブローのように土の生産力、生命力にダメージを与えている。

砂漠の灌漑緑化による食料増産という方程式は、もはや簡単には成立させられないのだ。

水不足からくる農産物の減収に合わせて、海の漁場や家畜の放牧地もすでに供給能力の限界に達しているとみられる。食料生産を増やす余地があるのは、技術革新によって農地の生産性を上げることだ。

私としては、水と有機物の循環利用をする農業、特に微生物を活用することによって生産性の上がる農法の普及を願い、紹介している。

塩害に関しては、好塩菌を使って農地の塩害を解消出来ると聞く。砂浜に打ち上げられた海藻を培養液に入れて、好塩菌を増やし、有機肥料とともに塩害のある土壌に鋤き込む事により、植物が塩害に負けなくなり、甘くて良質の作物が取れるという。これは化学農薬の多用で塩害がでているグリーンハウス(温室)でもかなり有効だという。




青の革命

水不足の中で、水の生産性を上げていかなければならない



前世紀の中盤から終盤にかけて、農作物の生産量が人口の増加率を上回って飛躍的に向上した。これは、化学農薬の生産、農機の発達や普及、栽培技術の進歩、品種改良などに起因しているが、この変移は「緑の革命」と呼ばれている。

だが、上記で述べてきたような問題を含め、世界の農業は壁に突き当たっている。水不足は生産量を決定する基本的な要因であるが、これまで何千年と行われてきた灌漑農業が、このままでいいのか、見直しをせざるをえない。

お金や労力を掛け、ダムを造り、井戸を掘り、水路を開いて、乾いた土地に灌漑を行うが、だんだん塩分が蓄積していき、あるときその濃度が植物が育つ限度を超え、農地を放棄しなければならなくなる。インダス文明の栄えた地でも、アフリカのサハラ砂漠のでも、モンゴルの平原でも、同じ事がおこったらしい。今も、米国中西部、カスピ海沿岸、パキスタンなどで同じ事が起きようとしている。

そこで、植物の根本付近にだけ水分を染み込ませる灌漑装置が使われ始めている。塩害の起きない農業に換えていかなければならない。水不足の中で、水の生産性を上げていかなければならない。

今世紀当初の、世界の農業の課題はこれだという。水1000トンで1トンの小麦をとっていたのを、2トン、3トン、取れるように 栽培方法を変えて行かなければならない。この変移はそれが成功すれば、水の色からとって、「青の革命」と呼ばれることになるらしい。

だが農業についてはこれが全てではない。化学農薬から脱して、微生物を活用して限界突破の作物をつくる循環農業も行われるだろう。こちらは農業革命と呼ばれるのではないか。




○○菌、発見?

微生物を商品にしようとすれば、その菌に、はっきりと効果が目に見えるような特徴を持たす必要がでてきて、不自然さをつくってしまう



2月14日の日経NETは、宮城県にある環境ベンチャーの会社が、家畜の屎尿などの悪臭を短時間で消す○○菌を発見、酵素と混ぜて、堆肥製造向けの溶剤を開発した、と報じた。堆肥センターの脱臭装置が不要になり、運転コストが削減できるほか、良質の堆肥が出来るのが特色という。

この溶剤は特許申請され、商品として農家に販売されるようだ。こうした特定の○○菌とか○○酵母と名前の付けられた微生物の活躍は、ますます盛んになるのかもしれないが注意も必要だ。

私自身は、微生物はどこにでもいるし、それを培養して使えば、いくらでも安く手に入るので、こうした商品はあまり関心を持てない。微生物を商品にしようとすれば、その菌に、はっきりと効果が目に見えるような特徴を持たす必要がでてきて、不自然さをつくってしまうことが しょっちゅう見うけられる。

まあそれはいいとして、このような菌の効能書きを鵜呑みにして、公費も入れて投資を行い、立派な堆肥製造設備を作っても、最初に目論んだ通りの効果が出ない事が多い。

上の記事では、脱臭装置が不要になるといっている。半年前、岐阜の畜産研究所の技術官の開発した脱臭装置の説明を聞いたことがあるが、これが ばかばかしいような(おっと失礼)お金の掛かる大変な装置だった。それだけ臭いの害にみんな苦労しているわけだ。

そこでナントカ菌を採用して装置をつくったとする。最初はいいがしばらくすると、この菌を食べる別の菌がでてくるのか、あるいは ナントカ菌自体が変異を起こすのか不明だが、ともかく、実験施設を見学に行った時とはちがって、期待通りの効果がでなくなってしまう。変化を起こした菌は設備の内部に常駐し、設備のリセットは不可能。設備を作った後では、もう手直しは利かない。周りの住人は、臭いの出ない画期的な装置と説明されていたのに、なんだこれじゃ、従来の設備と同じ、だまされた、ということになる。

こうした現象が、先取的な設備で多く起こり、現場の管理者たちは、もうあまり、バラ色の微生物の効果を信用してはいないようだ。活性汚泥とか、微生物による濾過装置に還ってくる。ナントカ菌で解決します、なんていうと、カルト宗教と同一視されかねない。

ナントカ菌の利用は、一時的には助けになるが、長期の連続使用では「微生物におまかせ」の部分の基本的な設備が、しっかり必要なボリュームを持っていないと、不安定になるということだろう。

上記の取材をした日経の記者も、その場で見聞きした効果だけ書かないよう注意が必要だろう。これは、最近、自分の身の回りでも経験したことなので、自分に対していっていることでもある。





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