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新しい水のシステム



これまで大雑把ではあるが、現代の文明が持つ「水のシステム」を見てきた。筆者の頭脳の特性により、不正確な部分もあったかもしれないが、資料を知るのが目的ではなかった。予告に反して、浄化槽のエッセンス(良い浄化槽の勘所)にはあまり触れなかったが、ここでは必要なかったのだろう。
もう結論を書く準備は整ったようだ。書き手は従来のシステムの俯瞰にほぼ満足している。
最後にもう一度、これまでに登場したパズルの一片一片を列挙したうえで、ジグソーパズルを完成させよう。長くお付き合いいただいた、この連載の読者の皆さんにも、私が経験した、パズルが完成したときの知的興奮を味わってもらえるかもしれない。
そのパズルに描かれている絵の題とは、有機的な生活、オーガニック・ライフを支える 新しい水のシステム、「オーガニック・ハウス」だ。オーガニックハウスの概念とその中核設備の姿を提唱し、この連載の環を閉じることにする。






新しいシステムの基本パーツ




無駄に水を汚さない

汚したら拡散する前に、汚した場所の近くで浄化処理をする

汚染源を放っておいて水処理をしても追いつかないし不経済

浄化は微生物に依っている 微生物を殺すような物質を流さない

汚した人がその汚れをきれいにする (汚染者責任)
医療機関、研究機関の過半数は DNAやプリオン、薬品、病原菌といったとんでもない汚染物質を垂れ流している。自らの生の手で浄化設備のメンテをするならこんな無神経なことは出来ないはず。業者まかせなら構わないのか

今の浄化施設は 薬品、エネルギーを大量に使用

現在の水のシステムでは 発ガン物質や伝染病の病原菌を防ぎきれない。高次処理をしようとすれば処理費用が莫大になる。

下水道で川がきれいになったことはない。

下水道は金食い虫

下水道は地下の環境を破壊する。特に広域下水道。

下水道では有害物を平気で流される傾向がある。

上水道も下水道も、事業経営としては破綻の危機にある。

人が増え、その汚れを手放しで自然に任せていては追いつかない。

個別に浄化設備を設けるのが一番良い(小口分散化)。

家庭で飲める水が調達できるなら、ダム・堰・配管は最小限で済む。

個人管理の浄化槽では、装置や管理が複雑では実用にならない。

長期休止しても、性能を維持できる浄化設備が望ましい。

FRP(ガラス繊維強化プラスチック)の浄化槽は製造時も取り壊し後も厄介者。

電気エネルギーをなるべく使わない。自然重力、人力、太陽光エネルギーの利用があっていい。

浄化技術は進歩しているが法制はそれに追いついていない。

水処理で汚れとして分離される有機物とは、本来、太陽のエネルギーを蓄えたもの。

有機物をただ分解するのはもったいない。エネルギーの浪費になる。

物質循環のサイクルを中断する処理は環境破壊。

排水の水質基準を厳しくしよう

周囲の自然水に近い清澄な水を放流しよう

水の使用量は生活水準が上がるほど増え、雨水も含めた高度利用、再利用が必要。

浄化装置の原理は上水も下水も同じ。

天水を土壌へ浸透させる配慮が大切。

世界的にみれば水不足がやってくる。それは食料不足も意味する。

浄化装置で分離した汚れは 植物を生かす資源

一人分の排泄物で一人分の作物の肥料が賄える

微生物で処理された水・汚泥は良質の液肥

液肥は運搬が楽で、現代人の農作業に適している

新しい水処理場は、汚泥の有効利用をしないと許可が下りなくなる

これからは自然の豊かな田舎に隣人と適当な距離を置いて暮らすスタイルが好まれる

薬害のない、もっとも安全な食物は自分で育てた作物

これからの住まいは家屋と隣接農地がセット

住んでいる所で取れた作物が当人にとって最適の栄養(身土不二)

地場で取れた物を地場で消費するのが新鮮で運搬もいらない(地産地消)




新しい水のシステム




我々が構築してきた従来の水のシステムは、人口の増加につれ巨大化し、システムとしての限界を迎えている。我々の文明はこれから新しいシステムを構築していかなければならない。その新しいシステムとはどのようなものになるのだろうか? 日本という自然環境におけるシステムを描いてみる。これは他国においても参考に出来るものとなろう。

それは完結性の高い小さなシステムが主体になる。水を必要とする家、事業所、施設ごとに設置する浄化装置である。

それは機械的な装置だけでなく、人という動物と 作物・庭木という植物、それに土壌が、この浄化装置を介して有機的につながり、効率的な再生産を行うシステムである。

この装置は使い汚した水を、ほぼ元の状態に戻す浄化能力を持つ。技術的に新技術を使うのではない。 従来の技術を上手く組み合わせることで十分可能なものである。もちろん同じ水をいつまでも使っていては、容存している微量物質の濃度が濃くなっていくので、少々の水の出入りはあって当然。

取り入れる水は天水でも、地下水(井戸)でも、表層水でも、従来の水道設備からでもいいが、長期の供給のストップがあっても平気なだけの貯水をする。

その貯水は循環使用するため大量にはいらない。その貯水は消防用水になるし、貯水の持つ潜熱を利用して暖房や冷房にも使う。

循環再利用する水のうち、調理飲用に使う分は重力式で精密な濾過装置を通過する。測定すれば都市の水道水より上といえるような質のよい水を供給する。

豊かな自然に囲まれて、隣家と適度な距離をおいた住まい、その住まいは建物とそれに隣接する農園がセットになっている。建物の地下に設備された浄化装置で処理された水は、農作物や庭木に灌漑に使われる。

水洗式のトイレから流入する有機物を嫌気的に処理し。その後、生活雑排水と混じって、改めて低濃度での嫌気処理がなされる。

処理された水は、ポンプアップされ植物の灌漑用水として活用される。分解が完璧になると汚泥が残らなくなる。

嫌気的な処理の後、好気的な処理が続く。これにより微生物バランスがとれる。目詰まりが頻繁に起きないように大きなろ材が多く用いられ、その後、細かいろ材を通ってから貯水し、再利用される。

新たな水の流入があり、装置からオーバーフローした処理水は土壌に浸透したり、川へ戻される。その流出水は、容存物質の濃度が流入前より濃くなっているが、放たれた先の土中・河川の生物が喜んで分解してくれるものとなっており、すぐに周囲の環境に合ったきれいな水の状態になる。

好気分解のため、ブロア(間欠運転)が必要で、そのための電力はソーラーなど近場で取り込めるエネルギーを利用する。

こうして水、熱、有機物、エネルギーを効率よく、有機的に利用する、住居のシステムが出来る。外から持ち込むもの、持ち出すものは少ないながら、快適な生活を送ることが出来、生活はたやすいものとなる。

このような浄化設備を中核に有する家をオーガニックハウスと呼ぶことにしたい。有機的な家、である。心臓部で働いてくれるのは、どこにでも無数にいる微生物だ。微生物は、人間が出す有機物を分解し、水を浄化する。同時に微生物により分解生成された物質は植物の食料となる。

設備に掛かる費用としては 何層も連結した臭いを遮断できる蓋付きの浄化槽・貯水槽が必要となるが、家々の使用状況に合わせて大きさを変える。その総費用は、従来のものとさほど変わらないだろう。先々のランニングコストを考慮するなら、足がでても取りかえすのに10年も掛からないのではなかろうか。

設備の構造がシンプルなので、壊れる部分は無く、手間もほとんどかからない。ポンプやブロアの消耗が生じるくらい、といっても、使い方が悪いと微生物が不活発になるので、水を浄化する性能がでない、良い液肥も取れないということは起こる。

有害物質を無神経に使うようだと自分に返ってくる。自分の部屋をきれいに使わないと、快適でなくなるのは自分自身だが、それと同じ事。そのため、水を汚すような物質は自ら使わなくなっていく。

この装置を動かすのに使われる動力は、その家の屋根に乗せたソーラーセルなどの発電装置で十分足りるものだとよい。一軒の家ではポンプの動力源は別にして、ブロアは100v×1A×12時間運転ぐらいの電力消費量でいくだろう。

電気・水道・エネルギー・食料が賄えて、情報連絡は電波を使うとなれば、いわゆるライフラインを集落中に張り巡らす必要はなくなる。それにつれ周囲の環境も修復出来ていく。

脱原発、脱化石燃料、脱ダムもだんだん可能になっていく。生活を維持するのに必要な費用が大きく減る。人は楽に生を生きることが出来る。




オーガニック・ハウス




オーガニックハウスの中心部をなす浄化装置だが、大雑把に、こうなるのではないかという一例を挙げてみる。装置は何例も作ってみて完成度を高めていかなければならないだろう。とりあえず概略をつかんでいただくために、ラフな図を描いてみよう。

概略図

連続する5つの槽は 防水モルタルで比較的安価に出来るだろう。全体の貯水量が多いので 風呂水を抜いたときなどの大量の一時水で、浄化しないうちに処理水が発酵槽を素通りするということもない。これで石井式の弱点だった流量調整器の目詰まりもなくなる。

貯水槽は蓄熱体としての働きも持たせることになる。冷暖房に使えるので光熱費のセーブにつながる。

嫌気発酵槽の部分は悪臭が漏れるのを防ぐため蓋をしてガス抜きをする。有機物が屎尿だけだと熱量が低くてバイオガスは利用できないだろう。

図を見る限り特に難しい部分は無いようだが、実際には、各槽の形状をどうするか、みず道が出来ないかなど、バランス感覚が必要になる。上手くバランスがとれると、汚泥の蓄積が無くなる状態を作れるという。ここまで完成度の高い装置をめざす。

ろ材は河原の石など大きなものを使い、目詰まりを起きにくくする。底部に溜まる泥は、一カ所に集まってくる様に勾配がついている。それをエアリフト(水中に空気を吹き込むことにより、見掛けの比重が軽くなり、上昇流が生じる。これを使って水を移動させる装置)を使い嫌気槽へバックする。これにはいろいろな働きがあるが詳細は略す。

家に住んでいる人が少ないと、液肥は多くは出ないだろうが、それでもこうして使い続ける事により、泥が溜まってしまうことはない それからアイドリング運転(数日から数ヶ月止めておくといった使い方)をしても、処理水のバランスが崩れにくい。

爆気槽のブロアは2台を交互に間欠運転させるのがよい。アンモニア濃度を下げることにつながる(窒素分の分解を促す)。一部のエアレーションは汚泥の返送に当てる。

貯水槽にも小さくエアレーションを入れ、貯水から酸素が逃げないようにする。これで貯水が腐らない。ポンプ以外、水は重力で移動する。

微生物農業で報告されている経験談からすると、こうしてバランスよく処理された。水は植物も動物も健康にするということが起こる。




新しいシステムの実現に向けて




宇宙のかなたに地球とよく似た水の惑星があり、そこに我々に似ていて、我々より進んだ合理的な文明を持った人がいたら、彼らの住居は上に描いたような装置をもっていることだろう。

彼らは、緑と溶け合った、農園を隣接した家に住む。彼らの社会は大きなダムは必要としない。大きな発電所も変電所も送電線も必要としない。食べるものは庭先でたやすくもぎ取ってこれる。干ばつに悩むこともない。自然のあたたかさ、涼しさを享受しながら、安らかに生きる。美味しくて安全な食べ物と、健康を生む水がある。生きるために活動しなければならない時間はわずかなので、その多くの時間を自分のやりたいことに割り振れる。

このような装置は 我々が思い描いた理想的な未来像を実現するものである。ロータス・パラダイス、蓮華国を地上に実現するものである。このシステム、オーガニックハウスを実現させる時は来ている。

各地で多くの技術者が 水の周りのいろいろな問題に取り組んでいる。上に描いたような具体的なプランは、知る限りこれまで提唱されていないようだが、合理的に考えれば、少なくとも日本ではこういう姿に収斂されていくだろう。完成されたパズルの絵が浮かびあがるのである。有機的な暮らし、オーガニックライフが21世紀を生きる、これからの人類に好まれるスタイルだろう。

周囲の水を化学物質で人一倍よごしてきた我々日本人、自分らが出した有機物を負荷がかからない形で広く自然に帰していない我々、水を得るため、捨てるため 大がかりな設備を築き、自然を破壊してきた我々、これまでの罪滅ぼしに水のシステムを根底から変えようではないか、それを我々の所から興して行こうではないか。

実は この連載は開始したとき このような絵は見えていなかった。これを書いてきて本当に良かったと思う。これからの自分のためになる。

連載は終わるが 別の形でこのプランの実現に向けてエネルギーを注ぐことになる。技術的な検証を専門家たちが集まる場所で進めるつもりだ。彼らのノウハウは助けになるし、彼らの発想を助ける事もできよう。同じような絵を描き、既に実現させ始めている人に出会えるかもしれない。

続きの展開が何らかの形でスタートするだろう。これを読んでいる誰かが提案してくれてもいい。ずっと応援してきてくれた 地球ライフ事務局のマハらが、またサポートしてくれるのかもしれない。

そこでまた 同じ気持ちを持った皆さんと出会えるのを楽しみにしている。最後まで読んでいただきありがとう。事務局本部の皆さんにもありがとう。

藤田/Sahaj 合掌





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